この春、移転オープンされた滋賀県米原市の佐々木文具店 店主 岡田友美さん。

それまで準備期間を含めて10年近く営業されていた地を離れて、

夫、音楽家の岡田健太郎さんと三人のお子さんと暮らしながら、

自分らしく、暮らしの一部として新たに運営を始められました。

自身のセンスで

岡田さんこと「佐々木さん」は私たちコクヨ工業滋賀の元同僚、付き合いはもう十数年にのぼります。

(当時は旧姓でしたので、ここでは「佐々木さん」と呼ばせていただきます)

なので、ノートなど紙製品の企画から生産のイロハももちろんご存知。そんな佐々木さんが自らのセンスでセレクトされた文具たちがたくさん詰まった佐々木文具店には、弊社の「びわこ一筆箋」や「びわこテンプレート」などもお取り扱いいただいております。つまり昔も今も文具でつながった同胞みたいなもんです(・ω・)ノイエイ

と、こちらは勝手にそう思ってます。

 

彼女のセンスはコクヨ工業滋賀時代から鋭いものでした。自らを「死に筋の目利き」と言い表すぐらい、彼女の選ぶものはいずれ廃番になりそうなものばかり。つまり万人にはウケないけど、ある種族にはめっちゃウケるというもの。

 

そのセンスは今も活きていて、例えばこのびわこテンプレート・・・のお隣、とても気になりますよね。これは今じゃ手に入らないコクヨの人物レイアウト用テンプレート(TZ-3020)です。廃業される文具店から救済したとのこと。何に使うのかちょっと分からないけど、その文具がもつ魅力を感じ取るセンス。そういうトコロです。

(名誉のために申しますが、愛がある目利きの持ち主です。ちゃんとモノの善し悪しは見極めておられますからね)

 

どれも佐々木さん自身が「これはいい!」とセレクトしたものばかりだから、店頭に置かれている各商品の説明POPからも、イキイキとそのモノの良さが伝わります。これらは全て佐々木さんが味な文字で手書きしたもの。これを読んでしまえば、あなたはきっとうっかり買ってしまいます。

 

そんな彼女が今イチオシのびわこ文具は「歌かるた箋 部活編」(ありがとう!)しかも、特にお気に入りが背に矢を持っている矢五郎デザイン(まじで!?)これを役場などのあえてお堅いところに送る郵便物に使用したい、二度見されたい、彼女はそれを「渾身の添え文」と表現されました。な、なるほどに・・・

まるで宝探しなお店

「ぎっちぎちの店にしたい」というのが佐々木さんの目指すお店のカタチ。広く、何でもありそうなお店ではなく、こだわったものがたくさん詰まったお店づくりには、彼女のセオリーがあります。

 

それは、「お店の中を何周かぐるぐる回ることで見つけられるモノがある」というもの。一見では見落としていても、再び目にすることで、モノを使うシーンであったり、あの人はコレが好きそうだなと想像したり、これは見れば見るほどイケてるなと気づいたり、まるで宝探しのようなお店です。

 

「もし、明日店を閉めたとしても困らない、自分自身でちゃんと使い切れるもの」と厳選された彼女のセレクトは、どれをとっても心が踊ります。

 

また、佐々木さんご自身が、人の温度が伝わるような暮らしをしているその中で、是非オススメしたい日用品や、遠方から来てくれたお客さんに滋賀のものを手にして欲しいという思いから「地のもの」なども店頭に登場しています。手紙まわりの文具たち、心地よい暮らし、地元愛。このお店そのものが佐々木友美さんのひきだしのようでありました。

書くことを推す文具店とお笑い芸人

店主 佐々木さんとの付き合いが十数年の私が彼女を表すワードをあげるなら、外せないのが意外にも「サンドウィッチマン」。そう、あの、お笑いコンビさんです。(※敬称略で書かせていただきます)

 

テレビを持たない暮らしを長くしている彼女のエンターテイメントのひとつにラジオがあり、特に、いや、むしろそのためにラジオがあると言っても過言ではないのですが、サンドウィッチマンのラジオ聴取がライフワーク、つまり彼女の暮らしの一部です。お店の移転準備中もしかり、壁の塗装をしながらも、今ではお店の開店前はサンドのラジオをアーカイブで流し、開店したらオシャレなBGMに替えているとのこと。

 

そんな佐々木文具店とサンドウィッチマンには共通点があったのです。

 

佐々木さんの話によると、サンドウィッチマンのラジオではハガキを読まれなかった人の中から抽選でさらの(新品の)ハガキをプレゼントしていたそう。しかし、最近字が汚い人が多くて、全く読めないほど汚いハガキも届くんだとか。それでも彼らはハガキを読みたい!だからハガキをプレゼントし続ける。(佐々木さん聴取の当時の企画です)

 

佐々木文具店もそう。つい、SNSだの、アプリだの、年賀状辞めましただの、書くということが減ったとしても、心踊るデザインの便箋やメモ、上手く書けそうなペンが身の回りにあったら、ちょっと書いてみようかなと思わせたい。2者の共通に「書く」という切り離したくない行為があるのです。

佐々木文具店のひきだしのなか

お店自体がまるでひきだしの中のような気分になる佐々木文具店。さて、そんな佐々木文具店のひきだしには何があるのでしょうか。

 

ハイ、これ、佐々木さんの今のイチオシ文具。もちろん愛用されています。COLOP社製(オーストリア)の回転式日付けスタンプ(お店でも販売中)使い道があまりないけど、押す感触がたまらなくいい。その感触を味わうために押すぐらい。なので、常に押すトコロを探していると言う。

佐々木文具店発行の「ササブン通信」にもこの日付けスタンプがご紹介されています。

次に出てきたのは、どんだけあるんだ丸シール。

レジで袋を渡さなくなった今、帯の止めシールに使用するなど、なかなかの活躍ぶり。なるほど!しかもカワイイ!!

最後に、コクヨ愛を感じる複写伝票たち。特にお客さんから好評なのは右のお勘定書(ウケ-201)だそう。「小振りながら、ちゃんとしてる」感じが良いみたい。

母な私、お店の私。

取材の際に同席してくれた末っ子ご長男くん(1歳半)。※許可を得て掲載しております

ゆくゆくはイケメンが店番する文具店として客層を拡げることも提案したいと思います。

また、取材中にも何やら街中に音楽が流れてきました。これは「小学校の下校時間ですよ〜畑仕事はそこそこに、子どもらのおやつを準備してや〜」とお知らせしているんだよと佐々木さん。もうすぐ長女ちゃん(小2)が片道2キロの通学を終えて汗だくで帰って来ます。そうこうしているうちに、次女ちゃん(もうすぐ5歳)のお迎えにも。日々の暮らしはどうしても3人の子どもたち中心になるけれど、オカンな私も、お店に立つ私も、どちらも私である、と。

 

コクヨ工業滋賀で商品企画開発のオフィス時代から、自分のお店で仕入れから販売まで文具との関わり方が変化しましたが、「週に5日も良く通勤したことが奇跡に近い」と笑いながら話してくれます。

 

今こうしてあるのは、文具が好きな自分に合った、そして母としての自分に合ったカタチを模索してきた結果。お店をして一番の楽しいのは、「あ!これいい」と私が選んだ文具に共感してくれる仲間に出会うこと。オフィスではなかなか味わえなかった、人間ウォッチングのもう一歩進んだものを、お店をしながら楽しんでいる。でも歌かるた箋 部活編に共感するお客さんは大体こっち側(ちょっと変わったセンス)の人だよ。と教えてくれました。

 

ありがとう。これからもあなたのファンでいさせてください。

佐々木文具店

電 話:080-1506-1580

住 所:滋賀県米原市村居田892

営 業:月・火のみ11:00〜16:00

駐車場:4台あり

Instagram:@asakibungu10

Facebook:佐々木文具店

通常営業のほか、19時まで営業する夜ササブンや縁側日和など開催されています。是非SNSをチェックしてくださいね。

佐々木さんいわく「老舗の味がする!」という滋賀県長浜市のYadorigiさんのおやつも文具店に登場!私のような腹ぺこ族はきっとあっちもこちも買ってしまうでしょう。開店早くはたくさん並んであります♪