ヨシを活用したブランド「ReEDEN(リエデン)」に、琵琶湖をもっと面白く、琵琶湖をもっと身近にをコンセプトにした「びわこ文具」シリーズがあります。そんな「びわこ文具」の第1号アイテムが、「びわこクリップ」です。
びわこクリップは琵琶湖の形をしたゼムクリップ。留める部分は魚の形になったこだわりのデザインで、紙を留めたときに表も裏も楽しめます。ビワコオオナマズやヨシ原、カイツブリなどの絵柄が印刷されたヨシ紙のメッセージカード5枚がセットです。そんな「びわこクリップ」はどのようにして生まれたのか、今日は開発のひきだしを開けてみたいと思います。

身近な文具をびわこに?

時は、2013年。ReEDEN(リエデン)シリーズは、転換期を迎えていました。
これまでの「エコ・環境配慮」をコンセプトとしたオフィス向け用品や学用ノートにとどまらず、もっと多くの方にReEDENを知っていただきたい、地元に愛される企業になりたい!と、新たな道へと足を踏み出したのです。
そして生まれた「文具をお土産に!」というテーマを掲げ、商品開発会議を行いました。

説明不要でパッと見て「これぞ滋賀のお土産文具!」というものはないものかしら。「滋賀らしさ」とはなんぞやと開発グループでアイデアを練り練り。やはり滋賀といえば琵琶湖、身近な文具が琵琶湖の形をしていたら面白い、と手元にあった書類を留めるゼムクリップに注目しました。
「琵琶湖の形をしたクリップ」があれば、ちょっとした滋賀らしいお土産にも、書類にワンポイントとしてオフィスワーカーにも、幅広くお使いいただけるのでは、と考えたのです。

びわこクリップを作ろう! 〜数々の試作を経てたどり着いたカタチ〜

では、どんなデザインのクリップにするのか。ここで、びわこクリップが完成するまでに生まれた、数々の試作から最終までの変貌をご覧ください。(これらはアイデアが形となったほんの一部で、デザイン案はまだまだあったというから驚きです…)

いざ!「びわこクリップ」の開発!と思い立ったものの、なにぶん初めての素材・加工です。まずは希望デザインを考案し、手作りでの試作を始めました。

1.試作初代と針金

試作初代のデザインは、外形が滋賀県で留めるところが琵琶湖になったもの。針金を一生懸命まげて形にしてみました。手がものすごく痺れました。作ってみるとわかるのですが(誰が作れるのか)、細部をどこまで再現するかで大きさが大分変わってきます。この時の初代試作は、縦の長さが約10センチほどありました。実用するには、書類の文字にめっちゃかぶってしまいます!面白いけど。

2.初代と二代目

二代目の試作では、外形を琵琶湖にしてみました。大きさも一回り小さくなりました。
カタチも中々整っているし、今見ても手製ながらかなりの力作!!
が、まだまだ大きそうですね…。

3.三代目とカッターナイフ

さらに小さなサイズでの試作&針金を加工するために手に受けるダメージやかかる時間を軽減するため、今度は厚紙をデザインカッターでカットして試作を重ねました。これも中々に繊細で大変な作業でした…。
クリップはどこから巻き始めてどこで終わるのか、留める部分の形も工夫してみようか。でも、クリップらしさも残した方がいいのでは、と何度も試作を重ねました。

4.三代目をサンプル化

ある程度形が決まると、本番と同じ加工方法&針金の太さも2パターンで試作品を作ってもらいました。想像していた琵琶湖の形がちゃんと表現できるのか、ドキドキです!
仕上がってきたものを見て、「おお、琵琶湖。琵琶湖の形をしている…!!」と感動。

ここで一旦、形のチェック!制服の胸ポケットにつけて、社内外の人が気がつくかという検証を行ったところ、すぐに「あっ!」と気づいてくれました。
さすが、滋賀県民には本当に琵琶湖が刷り込まれているんだな、と興奮を覚えました。

制服胸ポケットにクリップを忍ばせ検証

5.品質と機能性とデザイン

同時に、お客様がご使用の際に危険はないか、書類を留める際に紙を傷つけないかと安全面と品質面でも検討をすすめました。これまで、紙製品で検証してきた視点とは違うチェック項目があり、新たな気づきとともにとても勉強になりました。
その上で、びわこのフォルムのこだわりと、クリップらしさとして残していた留める部分の形も、遊び心をもってもう一度検討することに!

5.三代目と最終デザイン

そうしてブラッシュアップされ、
クリップの先端が琵琶湖上部のふくらみに接するようにして終わる形へと。
クリップの留める部分は魚にして、留めた時に表は「琵琶湖」、裏は「魚」と両面楽しめる、現在の完成形に辿り着きました!

初代からの歴代試作と並べるとこの通り。
こうして数々の試作を経て、想像と現実の埋め合わせを行い、協力してくださる技術工場さんのおかげで、こだわりの「びわこクリップ」が誕生しました。

ヨシの使いドコロ

忘れてはいけないのが、ReEDENシリーズとして、製品のどこかに「ヨシ」を活用する環境配慮のマインドです。
クリップ本体の素材は、本来の性能を優先しスチールですが、琵琶湖・淀川水系のヨシを使用したヨシ紙をメッセージカードとしてセットすることで、ヨシ活用の幅を広げました。カードには、ビワコオオナマズやヨシ原、滋賀県の県鳥カイツブリなどの滋賀らしい絵柄を木版画風にデザインし、こちらもこだわりの一品です。

「文具をお土産に」という発想から、滋賀の魅力を詰め込み、まずは「面白いな」という気持ちでより多くの方にお手に取っていただける商品作りを目指した「びわこ文具」。
商品に表立って表現はしていなくとも、製品の一部にヨシ紙を活用し、さりげなくも「後から気づく環境意識」につなげています。

こうして生まれた「びわこ文具」はシリーズとなり、次々と滋賀らしい製品が増え続けています。
大変おこがましいですが、日本人なら誰もが知っている富士山と並ぶ、滋賀県民の心の故郷である日本一の湖「琵琶湖」に誇りを持って、滋賀のお土産といえば「びわこ文具」と思ってもらえる日が来ることを夢見ています!

滋賀に訪れる方、滋賀にゆかりのある方をつなぐ、滋賀を想うお役立ちツールになれますように。
ひきだしの中には、びわこクリップの開発の記録とともに開発当時の熱い想いも真空パックで保管されていました。開封した途端、当時の記憶が蘇ります。

びわこクリップのラインナップ

現在、びわこクリップは2パターンの商品展開をしています。
従来の、クリップ5個・びわこメッセージカード5枚入った「びわこクリップ」に、今年の9月からギフトにもおすすめの、たっぷり使える大容量Ver.「びわこクリップ100」が追加されました。

びわこクリップがど〜んと100個入った、ヨシ紙を貼り合わせた可愛い丸箱ケースの特装版です!フタに箔押しされたシルバーのびわこクリップの意匠が素敵です。

ここぞという時に、びわこクリップで書類を留めて琵琶湖のワンポイントを効かせるには、5本じゃ足りな〜い!というお客様の嬉しいお声にお応えして、登場しました。
↓ぜひ、チェックしてみてくださいね。